諦めが肝心
黒子とギアスがメインかな?
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愛と忠誠を捧げたい【前編】
「どうして頼って下さらないのですか?」
少しでの頼ってくれたら、どんな事だってできるのに。
ブリタニアを裏切る事だって簡単に出来る。
自分にとって一番大切なのは、何時だって主様だけなのだから。
ランスロットの調整をしながら、ロイドは自嘲気味に呟いた。
誰にも聞かれることがないと分かっているからこその呟きだったのに。
「ロイドさん?」
気配は感じなかった。
いや、それよりも現役の軍人としての彼の方が優れていただけかもしれない。
所詮今の自分は科学者でしかないのだから、軍人の彼の方が気配を殺すことに長けていても仕方がないのかもしれない。
それか、気が緩んでいたのかもしれないが。
「聞こえた~?」
「はい。それにしても以外です。ロイドさんて人に頼られるのを嫌がるタイプだと思っていました」
これはスザクだけではなく、ロイドという人物を少しでも深く知る人間ならば誰だって思うことだろう。
「嫌いだよ」
「へぇ?」
「人に頼られるなんて虫唾が走るね」
「え?でも、さっき?」
自分の空耳だったのだろうか?
確かにロイドが『頼って欲しい』なんてありえないと思ったが。
「僕にだって例外はあるからねぇ~」
ただ一人の特別で大切な人。
「例外ですか?」
それってランスロットなのかな?
人ではないのだが、この人ならありえそうだった。
思わずスザクは、物言わない塊であるランスロットを見上げてしまった。
「残念でした~。不正解だよ~。でも、真実に限りなく近いかもしれないね~」
「え?」
何が?
「だって、この子の名付け親だからね」
かの主が考えた名前なのだ。
父親に見限られてブリタニアから人質としてこの地に送られる前日の話だった。
「僕は明日、エリア11に行く」
二度と帰って来られないと分かっているのだろう、その表情は硬い。
「どこまでも着いていきます」
ロイドは離れたくなどないのだ。
例えかの地で死ぬことになっても、この人の傍にいられるなら本望だった。
「ダメだ許さない」
死ぬと分かっている地に、ロイドを連れて行くわけにはいかない。
「ルルーシュ様!」
「分かってくれ、ロイド」
「分かりません。いや、分かりたくない」
「それでもだ。お前を死なせたくない」
「嫌です。どこまでもルルーシュ様のお傍に!」
どちらが年上なのか分かったものではない。
まだ子供でしかないルルーシュは運命を受け入れているが、ロイドにはそれが許せなかった。
「ロイド。お前はナイトメアを設計していたな」
「え?あ、はい。ルルーシュ様に相応しい機体を考えております」
この人に相応しい機体。
ルルーシュ様だけの機体だ。
「名前は僕が付けても良いだろうか?」
「え?」
「ランスロットが良い。もし、その機体が完成したら、僕を追ってきても良いよ」
完成するまで、最低でも数年は掛かると聞いた。
だから、その間だけでもロイドには安全なところに居て欲しい。
もっとも、その間に自分は亡くなっている可能性の方が高いのだが。
「ルルーシュ様?」
「完成したら、来ても良いから。そしたら、一緒に・・・・・・」
ブリタニアを壊そう。
言葉にしなかったが、泣きそうな目でロイドを見上げたら、ロイドも泣きそうな顔で頷いていた。
「・・・・・・はい。完成したら必ずルルーシュ様にお見せいたします。そして、今度こそ二人で・・・・・・」
ブリタニアを壊しましょう。
それは絆がもたらした約束。
それなのに、一年もしないうちにルルーシュ様の死が伝わった。
「信じない」
だから、ランスロットを完成させなくてはならない。
あの地に、ルルーシュ様を探しに行くために。
それから、一心不乱に作り上げたランスロット。
極秘に調べた結果、かの君は生きていた。名前を変えて暮らしているのは知っているが、自分の前に現れてくれない。
忘れたいのだろうか?
悲しみがロイドを支配していく。
それでも、かの主が笑ってくれているのならと自分自身を納得させてきたが、もう限界に近い。
傍にいたい。
声が聞きたい。
生きている事を触れて確かめたい。
愛を・・・忠誠を・・・捧げたい。
☆多分、後編だけでは終わらないような気がするので、次回は「中編」になると思います。
☆多分、後編だけでは終わらないような気がするので、次回は「中編」になると思います。
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伊月 優
性別:
女性
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