諦めが肝心
黒子とギアスがメインかな?
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手紙 6
カレンの密かな決意から一週間。
平穏な日々が続いていた。
「カレン」
自分を呼ぶルルーシュ様の声は綺麗で、ウットリと聞き入ってしまう。
「カレン」
何度でも聞いていたいが、それでは護衛失格だ。
「はい」
ヤバイと思いつつ返事をすれば、クスリと笑っている。
怒っていないのなら良かった。
「ボーっとして、どうかしましたか?」
「えっと、その」
まさかルルーシュ様の声に聞き入っていましたとは言えない。
「もし気分が悪いなら言ってくださいね。無理に護衛などしなくても良いのですから」
それは心配から出てきた言葉だろう。
優しいルルーシュ様らしい。
だが、
「ダメです。嫌です」
ルルーシュ様の傍から離れるなど考えられない。
「そう。でも、無理だけはしないでね。貴女まで失ってしまったら私は・・・・あ!ゴメンなさい。何でもないの。気にしないで」
そうは言うものの、ルルーシュの表情は硬い。
「ルルーシュ様?」
「ゴメンなさい。……あの、」
「何ですか?」
「お願いがあるの」
「何なりと」
命令する事に慣れている皇族。ルルーシュ様だって皇族なのだから命令すれば良いのに、何時だって『お願い』しかしない。
そして、ちゃんと断れる逃げ道を用意して下さる。
そんなの必要ないのに。
ルルーシュ様の命令なら、どんな事だってしてみせるのに。
歯痒かった。
「抱き締めて良いですか?」
泣きそうな顔。
そんな顔をして欲しくない。
何時だって微笑んでいて欲しいのに。
「それで、ルルーシュ様が笑顔になるのならば」
「え?」
「私はルルーシュ様の笑顔が好きです。微笑んで下さるだけで幸せなんです」
「あ!」
カレンの言葉に、目を見開いて驚いている。
それ程、変な事を言っただろうか?
「えっと。ダ、ダメですか?」
何か失敗した?
「ゴメンなさい。違うの。前に同じ事を言った人がいたの」
「そうなんですか」
ちょっとジェラシー。
悔しい。もっと早くルルーシュ様にお会いしたかった。
そして、一番初めに言いたかった。
「ええ。ありがとう。カレンに元気を分けて貰った気分よ」
そう言いながら微笑む姿に、見惚れてしまう。
何度見ても綺麗な微笑み。
何度も見たい。いえ、一生見続けたい!
「あの。私も、その……」
今なら言えそうだった。
いや、今しかない。
ルルーシュ様の騎士にして欲しい。
簡単なのに、簡単な言葉なのに。
重すぎて、中々口から出てこない。
「カレン?」
「私、私を!ルルーシュ様の」
あと少しなのに。
「どうしたの?」
首を傾げて聞いてくるルルーシュ様は綺麗だ。
ヤバイ。
大切な言葉を言わなくてはいけないのに、つい見惚れてしまいそうだ。
「えっと、その」
「????」
えーい。女は度胸だ!
「私をルルーシュ様の騎……」
「カーレン。置いていくなんて酷いよ」
あと少しという所をぶち壊したのは、KYスザク。
「スーザークー」
人間、真剣に怒ると髪が自然に立つことを知った。
「ゲ!」
「あら」
スザクの驚いた顔は見ものだったが、ルルーシュ様の驚いた顔には、穴があったら入りたいくらい惨めだ。
「覚えておきなさい」
これも全部スザクのせいだ。
本来なら、この場で成敗したいのだが、ルルーシュ様の目を汚すわけにはいかない。
「えっと、できれば直ぐに忘れて欲しいかもなんて。エヘ」
「無理よ」
邪魔された恨み+ルルーシュ様を驚かせてしまった罪は重い。
タイミングを逃してしまった。
今日は諦めるけど、次こそは。
カレンの希望は胸に秘めたままとなった。
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