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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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愛しき姫君 0

愛しき姫君 0「始まり」 (ゼロとルルーシュ10歳)



「ごめんなさい」

 それが10年振りに会う、いや、初めて会う兄への第一声だった。

「ルルーシュ我が愛しい妹」
 二卵性の上、男女の違いがあるはずなのにルルーシュとゼロはソックリだった。

「ごめんなさい」

 ルルーシュにとっては感動の再開を喜ぶよりも、弱い存在であるナナリーを守れなかった自分が恥ずかしくて
仕方がない。
「大丈夫だルルーシュ」
 ゼロは、自分にソックリな妹の髪を優しく梳いた。
「でも、ナナリーが!」

 自分は守れなかったのだ。
 大切な妹を。

「その事なら心配ない。アッシュフォードの情報に寄れば無事にブルタニア軍に保護されたらしい」
「本当ですか?」
 今にも泣きそうな顔をしていたルルーシュは、その言葉に驚きを隠せない。
「本当だ。スザクという少年と共に保護されたと連絡を受けた」
「良かった。ナナリーだけじゃなくてスザクも無事だったんだ」

 本当に良かった。
 あの時、スザクにナナリーを任せたのは間違いではなかった。

 自分のせいで罪を犯してしまったスザクに、ナナリーを守るということで生きることの意味を見出して欲しかったのだ。
「だが、暫くナナリーには会えないな」
「え!どうして?」
 そんな、直ぐにでも自分の無事を伝えたいのに。

 ナナリーやスザクに逢いたいのに。

「今回のことで、ブリタニアの事を見限ることにした」
「ゼロ?」

 それは・・・・

「ルルーシュやナナリーが居るのを分かっていてブルタニアは戦争を仕掛けた。そんな国を俺は許さない」
 力強いゼロの言葉は、ルルーシュの想いと一緒だった。
「ゼロ」
 弱者にとってはブリタニアという国は住み辛い。
 だからこそ早くナナリーを救い出したかったのだが、今の自分達にその力が無い事も分かっている。

「この国で力を付ける」

 弱者にとって優しい世界を造る為にも、力を付ける必要があった。
 だが、未だにギアスの力を制御することができない自分は無力な子供でしかない。
 ギアスの力は大きな戦力になる。
 だから制御が出来るようになるまでは、迂闊に動くわけにはいかない。

「はい」

 分かっている。
 自分達には力がないのだから。

「すまないルルーシュ」
「ゼロ、そんな顔をしないで。ナナリーは優しい子です。分かってくれます」
 それに、ナナリーの隣にはスザクが居る。
 そのことにルルーシュは安堵すると共に、胸がチクリと痛んだ。
 それは自分の隣にスザクが居ないという事であり、ナナリーの隣にスザクが居るという事。
「力を付けてブリタニアを壊したら、3人で暮らそう」
「そう・・ですね」
 3人、いやスザクも入れて4人で暮らせたら幸せだろう。
 その為なら、自分はどんな事でもしよう。
「手伝ってくれるか?」
「もちろん。ダメと言われても強制的にでも手伝います」

 そっと見詰め合う二人の意思は揺ぎ無いものだった。

「ありがとうルルーシュ。愛しき半身」
「ゼロ。大切な私の半身」 

 10年もの間引き裂かれていた兄妹は、同じ目的のために手を取り合った。

 これが、総ての始まりとなる。




☆10歳児の会話に聞こえませんが、二人とも頭が良くて辛い現実をたくさん見てきたせいだと思って下さい。
 次からは17歳の話になると思います。
 



 

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