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諦めが肝心

黒子とギアスがメインかな?

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愛しき姫君 13

愛しき姫君 13「協力者」



 そして、運命の会合の日がやってきた。
 モニター越しに見つめあう兄弟。
 初めて会った二人の感想は、お互いに似ているだった。
 姿形でなく纏う空気や存在感が同じなのだ。
「はじめまして、シュナイゼル・エル・ブリタニア。私は黒の騎士団総帥ゼロ。そして、本来のルルーシュ・ヴィ・ブリタニアです」
「初めましてゼロ。可笑しな事を言わないで貰いたい。私のルルがこんなに捻くれているはずないよ」
「そうですね、私のルルーシュは誰よりも優しい」
 お互いにルルーシュが自分のもの発言だが、二人とも気にしていなかった。
「正確には貴方方がルルーシュと呼んだものの双子の兄です」
「双子ね。死産だったと聞いていたが」
「生きていますよ。ただ事情がありまして、大人になるまで姿を隠しておく必要があった。その為にあの子はルルーシュになった」
 哀しい事実だ。
「ならば今回の連絡は、君が本来のルルーシュに戻るという事で良いのかい」
 できれば認めたくないのだが。
 私のルルーシュがこんなに捻くれた子になるのは耐えられない。
「いいえ。私はルルーシュになるつもりはありません。ゼロと言う名前も立場も気に入っていますから」
「ならば、」
「ですから、ルルーシュ皇女を返そうと思います」
 皇子ではなく皇女と言えば、この頭のいい宰相ならば気が付くだろう。
「その条件は?」
 その申し出は嬉しいが、無条件という雰囲気ではなさそうだ。
「皇帝と話がしたい」
「なぜ?」
「父と息子が話すのに理由が必要ですか?」
「父と子ならば必要ないが、皇帝と黒の騎士団の総帥とでは必要だろ」
 君達の関係は正にそれだからね。 
「息子からの最初で最後のお願いをしようと思っているだけです」
 他意はありません。
 涼しそうに言いながらも、悪意が見え隠れしている。
 だが、
「それなら協力しよう」
 シュナイゼルもまた同類だった。
「ありがとうございます宰相閣下」
「こんな時くらいは兄と呼んで欲しいな」
 もう二度と呼ばれることは無いだろうからね。
「機会があれば呼ばせて貰います。だが、今はその時ではありませんよ」
 どのみち兄と呼ぶ羽目になるのだ。
 それが少しくらい遅くなっても構わないだろう。
「そうかい。残念だ」
 もう二度と機会は無いだろうね。
「それよりも、皇帝陛下といつ話せますか?」
 それで全てが決まるのだ。
「そうだね。近日中にも機会を設けよう」
「よろしくお願いします」
「ああ、可愛い弟の頼みだからね」
 そして、可愛い妹が手に入るなら。
 喜んで協力しよう。


 そこで通信が切れた。


「ルルーシュ」
 ゼロはモニターの死角になる場所で事の成り行きを見守っていた愛しの妹に声を掛けた。
「ゼロ」
 心配そうにゼロを見つめるルルーシュに暖かい微笑を向けると、
「しばらく離れ離れになる」
「そうですね」
 ゼロに聞かされていた計画上、二人が離れるのは仕方ない。
 仕方ないが、
「離れたくない」
 自分で計画しておいてなんだが、ゼロとてルルーシュと離れたくないのだ。
「私もです」
 必要な計画だと分かっている。
 それに、離れている期間はそれほど長くない。
「ルルーシュ。傍に」
「はい」
 ゼロの呼びかけにルルーシュは傍に寄ると、ピタリと体を寄せ合った。
「愛している」
「ゼロ」
「私にとって一番大切なのはルルーシュだ。日本もナナリーもブリタニアも二の次でしかない」
「はい。私にとってもゼロが一番です」
 何よりも愛しい方。
「ルルーシュ」
 ゼロは呟くと、自分よりも若干下にあるルルーシュの顔に手を這わせると優しく口付けた。
 2度3度と触れるだけの行為だったが、お互いの気持ちを確かめるのには十分だった。
「ゼロ。私は貴方の隣に帰ってきます」
 その為に、一度ブリタニアに戻らなくてはならない。
「私の隣はルルーシュの為にある。それを忘れるな」
「勿論です」
 この7年間ずっと傍に有った存在。
 誰よりも大切な半身。
 ゼロの隣に帰るために、これ以上の血を流さずに日本を取り戻すために、その為に私はブリタニアに戻ろう。




☆次で本編最終回です。

 

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