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愛しき姫君 10

愛しき姫君 10「名前」


 ゼロとルルーシュが想いを通わせてから数日後、アッシュフォード学園へ意外な人物が遣って来る事になった。
 その事をルルーシュに告げに来たのは、7年前から自分たちを守ってくれているミレイだった。
「本当ですか?」
 ルルーシュは自分が聞かせれたことが信じられなかった。
「事実よ。もっと喜ぶかと思っていたけど」
 この話をしたら絶対に喜ぶと思っていただけに、ミレイにとってルルーシュの反応は以外だった。
「少し前までなら喜んだと思います。でも、今は・・・・・」
 ゼロの怪我の一件以来、ルルーシュの心情は複雑だった。
「何か有ったの?」
「・・・・・・・ご免なさい。これ以上ミレイを巻き込みたくないの」
 これ以上知ってしまえば、引き返せないところまで巻き込んでしまう。
 それだけはしたくない。
「ルルちぁん。いえ、ルルーシュ様」
 言い換えたのは、自分の立場を明確にするため。
「ミレイ・・・・・」
 ミレイの決意の固さが伺える。
 それでも・・・・・
「私はルルーシュ様の騎士です」
「・・・・・・・・」
 キッパリと言い切るミレイにルルーシュは何も言えなくなってしまう。
 ミレイがどれだけ自分たち兄妹に尽くしてくれたか知っている。
 だけど・・・・・
「私の主はルルーシュ様だけです。絶対に裏切ったりしません。ですから、私を認めてください」
「ミレイ・・・・・・」
 ミレイがどれだけ努力したのか知っているルルーシュとしては、良い断りの言葉が出ない。
「ルルーシュ様しか居ないんです。だから、だから・・・・・」
 最後の方は殆ど叫んでいる。
 それだけに必死さも伝わってくるのだ。
「ゴメンなさい」
 それでも、
 いや、それだからこそルルーシュは頷くわけにはいかないのだ。
「ナゼですか?」
 どうしてダメなの。
 こんなに頑張ったのに。
「ミレイが悪いわけではないの」
「だったら・・」
「だが、ミレイが見ているルルーシュは消える存在です」
 だから認めるわけにはいかないのだ。
 ミレイを一人にしないためにも。
「!?」
 え?
 どういう事ですか?
 ミレイはルルーシュの言葉を理解できない。
「ミレイは知っているはずです。本物のルルーシュが誰なのか」
「あ!」
 そう、ミレイは聞かされていた。
 ゼロとルルーシュの秘密を。
「だから今、ルルーシュとしてミレイを騎士と認めるわけにはいかないんです」
 そう、自分がルルーシュとして生きていられるのは後少し。
「私の中ではルルーシュ様こそが本人です」
「だが、戸籍上はゼロがルルーシュです」
 自分は身代わりでしかない。
 ブリタニアの公式データとして登録されているDNAはゼロのものだ。
 ゼロがルルーシュとして、正式な第11皇子として戻る日の為に。
 自分がルルーシュという名前を名乗れるのは、ゼロがルルーシュに戻るまででしかない。
「ゼロ様と正式に話し合いましたか?」
 ルルーシュ様の思いをゼロ様は知っていらっしゃるのだろうか?
 ココまでルルーシュ様が追い詰められていることを。
「話してはいません」
「ナゼですか?」
「ゼロにこれ以上負担を掛けたくないのです」
 私までゼロの負担になるわけにはいかないのだ。
 

 ルルーシュが辛そうに言った時、意外なところから声が掛かった。
「ルルーシュの事で私が負担を感じることは無い」
 二人の後方の部屋から出てきたのはゼロだった。
「ゼロ様」
「ゼロ」
「ルルーシュ。悩んでいるならナゼ一言でも相談しなかった」
 ルルーシュの悩みならばどんなことでも聞きたいと思うのは私の我が侭だろうか。
 それよりも、まさかこんな事で悩んでいるとは思わなかった。
「ゴメンなさい。でも・・・・」
 ゼロに負担を掛けたくなかったのだ。
 自分がゼロにして上げられることは僅かしかないのに。
 ゼロから与えられる愛情は大きい。
「私は黒の騎士団を作ったときに、皇族に戻るつもりは無いと告げたはずだ」
 自分が潰す予定の国の皇位継承権など、何の意味があるだろうか。
「聞きました。でも、ゼロが本来ルルーシュになるはずだった・・・・・」
 自分はその為に身代わりに過ぎなかったのに。
「私はゼロという名前が気に入っている。それに、ルルーシュがルルーシュであるからこそ特別だと思える」
 今更名前を変える気持ちはない。
 私がゼロで、ルルーシュがルルーシュという事実は何よりも大切なのに。
「ルルーシュのままで居て良いのですか?」
 このままずっとルルーシュと名乗っていて良いのですか?
「当たり前だ」
「嬉しいです。ゼロ」
 自分が始めて認められた気がした。
 自分の名前がコレほど嬉しいなんて。


 嬉しそうにルルーシュが笑うのを、ゼロとミレイは黙って見つめていた。 



 
 

 

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