諦めが肝心
黒子とギアスがメインかな?
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別れたら好きな人 4
それから毎日のように生徒会室に入り浸るジノ。
一週間も経った頃には、見事に生徒会の一員となっていた。
「これ、お願いね」
そして、今日もミレイにお願いされてしまった書類を手伝っている。
「はい」
実はデスクワークは苦手なのだが、これを断れば直ぐに生徒会室から追い出されてしまうのだ。
「会長」
忠犬宜しく、ミレイから書類を受け取るジノにルルーシュも呆れている。
「何よ、ルルちゃん。文句でもあるの?」
「ないですが、初めから雑用係が欲しいのなら、別の人間を用意させます」
ジノが悪い訳ではないのだが(悪いのは強制的に仕事を押し付けているミレイだろう)デスクワークが苦手な事もあってか、出来上がった書類に不備が多いのだ。
それを手直しするのは、なぜかルルーシュの仕事となっている。
結果的に、ジノが通うようになってから、ルルーシュの仕事が増えた。
そして、
「あ!ルルーシュ先輩。今日も綺麗ですね」
万遍の笑みで近付いてくるジノ。
大きな耳と尻尾が見えるようだ。
「ああ、そうか」
初めこそ全力で「綺麗」だの「可愛い」だのという言葉を一々否定していたが、今ではスルーする方が多い。
これは、余りの多さに諦めてしまったのだ。
「好い加減に、私と付き合って下さいよ」
「断る」
「つれない人だな」
大きな溜息と共にジノが肩を竦ませるが、ルルーシュには知ったことではない。
「つれなくて結構だ」
好い加減に諦めてくれれば良いのに。ジノが諦める気配はない。
ツーンとルルーシュが冷たくしているのにジノの方はニコニコと笑みを絶やす事がないのだ。
「やっぱり、ルルーシュ先輩は素敵だ」
「はぁあ?」
何処をどうすれば素敵になるのだろう?
この後輩の脳の中を一度見てみたい。
「愛してます。ルルーシュ先輩」
「・・・・・・・・・」
押し黙ってしまったルルーシュに、
「はい。今日もルルちゃんの負け」
嬉しそうなミレイの言葉が重く圧し掛かる。
この一週間、何時だって最後はルルーシュが黙ってしまう。
それの繰り返しだった。
そして、この後輩の賞賛すべき点は、これだけではないのだ。
「あ!今日のおやつです」
毎日毎日、何かを持ってくる。
それも決まってルルーシュの喜びそうなものをだ。
「あら、今日は何?」
生徒会のメンバー全員分を買ってくるジノ。
目を輝かせたミレイが、ルルーシュを押し退けている。
「今日は、帝国ホテルのプリンです」
その言葉に、ルルーシュがピクリと反応した。
帝国ホテルの限定プリンは、入手困難な一品で有名なのだ。
ルルーシュも一度は食べてみたいと思っていたが、未だに食べられなかったプリンだったりする。
「プリンは、ルルちゃんの大好物だものね」
「ほっといて下さい」
そう言いながらも、ルルーシュの視線はプリンに釘付けだった。
事の発端は、ミレイに生徒会室に通う許可を貰った翌日の事。
本当に生徒会室に来たジノは、巨大な花束を持ってきたのだ。
それは、ルルーシュのイメージで統一されていて、とても綺麗だった。
だが、
「これをどうしろと?」
余りの大きさに、1人で持って帰るのは無理だ。
(ちなみにジノは、時間を見計らって実家の召使に持って来させた)
「プレゼントです」
ニコニコと悪意は感じられない。
だが、邪魔だ。
生徒会室にある花瓶に入りきらない。
仕方がないので、入りきらなかった分だけルルーシュが持って帰る事になった。
それを見兼ねたミレイが、コッソリと帰り際にジノに言ったのだ。
「あのね、ジノ君。ルルちゃんはどんなに綺麗でも男なの。花束やアクセサリーなんかじゃ喜ばないわよ」
「え?」
それは、ジノにとっては意外な事だった。
てっきり喜んでくれると思っていたのだ。
「だから、次からはケーキとかにしなさい」
「ケーキ?」
ケーキって、甘いケーキの?
それ以外にはないのだが、ルルーシュとケーキが結びつかなかったのだ。
「そ。ルルちゃんて、ああ見えて甘党なのよ。一番の好物はプリンだけど、イチゴが使われたケーキなんかも大好きなのよ」
「良いかも」
その時、ジノの脳裏には、嬉しそうにケーキを食べるルルーシュの姿が浮かんでいた。
「何を想像したか知らないけど、次からはケーキとかにしなさいよ」
「はい」
「で、勿論。買って来るからには生徒会の全員の分だからね」
ルルーシュの分だけなのはNGよ。
「了解しました」
裏でそんな遣り取りがなされていたとは露知らず、翌日にジノが持ってきたのは、美味しいと有名なお店のイチゴタルトだった。
勿論、生徒会メンバー全員分+ジノの分。
それから、ジノを含めたメンバーによるお茶会が恒例となった。
☆少しずつしか進まない。
終わりが遠いぞ。
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