新しい世界

☆アニャVS黒ナナルルで、TURN19後に二人がルルーシュ側についた、という設定。
矛盾はスルーでお願いします。




新しい世界




　フレイヤの被害から逃れることのできたナナリーは、咲世子に支えられながら被爆後を眺めていた。
　支えられているとはいえ、ナナリーは自分の足で立っている。
　


　フレイヤの爆発の瞬間、もうダメだと思ったナナリーは、走馬灯のように過去を思い出していた。
　その中には自分の中に無かった記憶がある。
　そして、全てを思い出したのだ。
　母が殺された時、自分は見ていない。
　だから足を撃たれてもいない。
　思い出した瞬間に目が開き、足に力が蘇った。
　そして、咲世子との絶妙なるコンビプレーにより無事に脱出することに成功した。


　九死に一生を得たナナリーが思うのは、兄のことばかり。
　兄の想いを正しく理解したナナリーの行動は唯一つ。
　兄の元に行くだけだ。
「大丈夫ですかナナリー様」
　心配そうに聞いてくる咲世子の、ナナリーは薄っすらと微笑んだ。
「大丈夫です。それよりも・・・・」
　お兄様の元に行こうと言い掛けた時、２人の前に舞い降りたのはモルドレッド。
「ナナリー様」
　警戒心を剥き出しにナナリーを背後に庇おうとすれば、
「大丈夫です」
「ですが、ナナリー様」
「うふふふ。モルドレッドということは、乗っているのはアーニャさんですもの」
　うふふと笑いながらも、ナナリーの背後にドロドロしたものを感じる。
「ナ、ナナリー様」
　咲世子が不審げにナナリーを見ていると、モルドレッドの中からアーニャが出てきた。
「お久しぶりですわ、アーニャさん」
　ナナリーらしい話し方なのだが、背後で何かが蠢いている。
「ナナリー様？」
　アーニャの方もナナリーの変化に気が付いたようだ。
「その節は色々と邪魔して・・・じゃなくて、妨害して頂いて、本当に腹の立つ日々でしたわ」
「ナナリー様？」
　何の事だろうとアーニャが思っていると、
「うふふふ、アーニャさんも忘れているようですわね。本当に良かった」
　これでお兄様は私１人のもの。
　嬉しそうに微笑むナナリーだが、だが黒く見えるのは気のせいだろうか？
「ナナリー様？」
　一体ナニ？
「これで、私だけのお兄様になりますわ」
　うふふふと笑うナナリーの姿がフラッシュバックする。
　この人をバカにしたような笑みには見覚えがある！
　というか、何度でも思い出してしまう。
　それは、忘れていた過去。
　アーニャにとっては何よりも大切な、そしてナナリーと取り合った相手。
「ルル様は渡さない」
　自然と出てきた言葉。
　忘れていた、大切な思い出。
　幼い日々に、ナナリーと取り合った大切な皇子様。
「お兄様は黒の騎士団のゼロですよ。お父様の騎士の貴方とは、相容れない存在です」
「だったらラウンズを辞める。ルル様を守る」
「はん、信じられませんわ。お兄様は私が守るんです」
　今は長年の車椅子生活で足の筋肉も衰えているが、直ぐに昔の活発さを取り戻してみせる。
　母に似た身体能力が手助けしてくれるはずだ。
「ルル様は、私が守る」
　ナナリーなんかには負けない。


　２人の間に火花が散った。


　その後に待っていたのは、黒の騎士団の裏切り。
　ルルーシュが売られたのだ。
　元々ルルーシュしか興味の無かった２人だ。
　ルルーシュを裏切った黒の騎士団や、傷付ける切欠を作った帝国を許すはずが無かった。
　その後に繰り広げられる戦いは壮絶を極めた。
　兄を裏切った黒の騎士団へ容赦ない攻撃を加えるナナリー。
　そんなナナリーに負けじと帝国側を攻撃するアーニャ。
　たった２人、されど最強の２人により世界の地図が一変した。
　兄の蜃気楼で戦うナナリー。
　モルドレッドで戦うアーニャ。
　そんな２人の指揮を取るルルーシュ。
　たった３人で世界を変える。


「ありがとう、ナナリー、アーニャ」
　ルルーシュの嬉しそうな笑みが２人の活力源だ。
「はい。お兄様」
「ルル様」
　嬉しそうに笑う二人は、世界を恐慌にまで落としたとは思えないほど可愛らしい。
「頑張ってくれ」
「はい」
「勿論」
　そして今日も、二機の悪魔が世界を暗躍する。　　





☆初めはルルーシュを出すのを忘れてました。
矛盾が色々ありますが、そこはスルーでお願いします。